私が起立性低血圧という言葉を自分事として突きつけられたのはある冬の朝のことで、いつものようにアラームの音で飛び起き、トイレに向かおうと一歩踏み出した瞬間、目の前が真っ白になり、気づいた時には廊下の冷たい床に倒れ込んでいました。幸い怪我はありませんでしたが、自分の意思に反して身体のスイッチが切れてしまうような感覚に激しい恐怖を覚え、それ以来、椅子から立ち上がるたびに頭がクラクラし、ひどい時には吐き気や激しい動悸に襲われるようになりました。もしかして脳の病気ではないかと不安になり、病院の門を叩いたのが私の克服の始まりで、検査の結果、脳には異常がなく、下された診断名は起立性低血圧でした。医師からは自律神経の調整が追いついていない状態であり、まずは生活のテンポを落としましょうとアドバイスを受け、それまでの私は仕事の忙しさを理由に常に何かに追われるように動き、水分補給も疎かになっていたため、治療というよりは自分の身体の使い方のリノベーションが必要だったのです。まず最初に取り組んだのは朝のルーチンの変更で、目が覚めてから5分間は布団の中で足の指をグーパーと動かし、次にゆっくりと上半身を起こしてベッドの縁に腰掛け、そこで再び3分間静止するという段階的な起立を徹底するだけで、朝一番の立ちくらみは劇的に改善されました。また、食生活の改善も大きな役割を果たし、以前の私はむくみを恐れて水分を控えめにしていましたが、医師の勧めで1日に2リットルの水をこまめに摂るようにしたところ、水分量が増えることで血液のボリュームが安定し、急な動きに対する身体のレジリエンスが高まったのを実感しました。さらに、外出時は必ず着圧ソックスを履くようにしたことが意外にも効果的で、立ちっぱなしの電車移動でも以前のように頭の芯がスーッと冷たくなるような感覚がなくなったことで、筋肉のポンプ機能を外部から助けてあげることの大切さを身をもって知りました。克服までの道のりで最も難しかったのは自分の弱さを受け入れることであり、立ち上がるたびにゆっくり、ゆっくりと自分に言い聞かせるのは最初はまどろっこしく情けなくも感じましたが、急いで動いて倒れるリスクを考えれば、この数秒の猶予は自分を慈しむための大切な儀式なのだと思えるようになりました。半年が経過した今、あの日々を支配していた絶望的な立ちくらみはほとんど影を潜めており、起立性低血圧は私に自分の身体の声を聞きなさいというメッセージを届けてくれたのだと感じています。もし今、同じ症状で不安の中にいる人がいるなら、焦らず自分のペースで立ち上がれば良いのであり、一歩一歩の歩みを大切にすることが必ず健やかな明日へと繋がっているのですから、どうか自分を責めずに前向きに対策を続けてほしいと願っています。
毎朝の立ちくらみを克服した私の実体験と改善の記録