女性にとって、おしり周辺のかゆみというのは非常にデリケートで、誰にも相談しにくい深刻な悩みです。仕事中や外出先で急に強いかゆみに襲われても、その場ですぐに対処することができず、精神的なストレスも計り知れません。いざ意を決して病院へ行こうと考えた際、まず迷うのが一体何科を受診すべきかという点です。おしりのかゆみ、医学的には肛門周囲皮膚炎や肛門掻痒症と呼ばれる状態において、選択すべき主な診療科は肛門科(肛門外科)、皮膚科、そして症状によっては婦人科の3つに分けられます。受診科を決定するための最も大きな判断基準は、かゆみの中心がどこにあるかという点です。もし、かゆみが肛門の出口そのものや、そのすぐ内側に集中している場合、あるいは排便時の出血やイボのような腫れを伴っているならば、第一選択は間違いなく肛門科です。肛門科の医師は直腸や肛門内部の構造を専門としており、かゆみの原因が痔核(いぼ痔)や裂肛(切れ痔)から漏れ出す浸出液によるものなのか、あるいは直腸脱のような物理的な刺激によるものなのかを的確に診断してくれます。一方、かゆみの範囲がおしりのほっぺたや、割れ目の皮膚全体に広がっている場合、あるいはブツブツとした湿疹や赤みが目立つ場合は、皮膚の専門家である皮膚科が適しています。皮膚科では、洗剤や下着による接触皮膚炎、いわゆる「かぶれ」や、カビの一種であるカンジダ菌、白癬菌(いんきんたむし)による感染症などを、皮膚を一部採取して顕微鏡で調べることで特定できます。さらに、女性特有の要因として見逃せないのが、膣分泌物、つまり「おりもの」の影響です。もし、おしりのかゆみとともに、デリケートゾーン(外陰部)にもかゆみや違和感がある、あるいはおりものの量や色に変化がある場合は、婦人科を受診するのが最も効率的です。膣炎や外陰部カンジダ症が原因で、その炎症が後方のおしりまで波及しているケースは女性に非常に多く見られます。病院選びの際、女性にとっては男性医師に診られることへの抵抗感が受診を遅らせる最大の要因となりますが、最近では女性の専門医が在籍する「女性外来」や、完全予約制でプライバシーを徹底したクリニックが増えています。何科に行くべきか迷っている間にかき壊してしまい、細菌感染を起こして痛みに変わってしまうのが最も避けたい事態です。自分の症状を客観的に観察し、肛門そのものなら肛門科、皮膚の広範囲なら皮膚科、女性器周辺も気になるなら婦人科、と覚えておきましょう。もしどうしても判断がつかない場合は、総合内科などで初期相談を行い、適切な専門医へ紹介状を書いてもらうのも一つの賢明な選択です。おしりのかゆみは体からのメンテナンスを求めるサインです。適切な診療科という扉を開けることが、不快な日々から解放され、健やかな日常を取り戻すための確実な一歩となるのです。
おしりのかゆみは何科が正解か女性の悩みと診療科の選び方