活発に走り回る子供が、突然「膝が痛い」と訴え始めたら、親としては心配になるものです。転んだりぶつけたりしたわけでもないのに、なぜ痛がるのでしょうか。子供の膝の痛みは、大人のそれとは原因が異なる場合が多く、適切な診療科を選ぶことが重要です。まず、明らかな怪我、例えば遊んでいて転んだ後や、スポーツ中に痛めたという場合は、骨や靭帯の損傷の可能性を調べるために、整形外科を受診するのが基本です。一方で、特に思い当たる原因がないのに膝の痛みを訴える場合、いくつかの特有の病気が考えられます。その代表が「オスグッド・シュラッター病」です。これは、小学校高学年から中学生くらいの、スポーツを熱心に行っている成長期の子供に多く見られる病気です。急激な骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、膝のお皿の下の、すねの骨が出っ張っている部分に負担がかかって炎症を起こし、痛みや腫れが生じます。運動時に痛み、休むと和らぐのが特徴です。この場合も、診断と治療は整形外科が専門となります。もう一つ、親を悩ませるのが「成長痛」です。これは、主に幼児期から小学生くらいの子供が、夕方から夜間にかけて膝やふくらはぎ、足首などの痛みを訴えるものです。しかし、翌朝になるとケロリと治っていることが多く、病院で検査をしても特に異常は見つかりません。原因ははっきりとはわかっていませんが、日中の活動による筋肉の疲労などが関係していると考えられています。では、何科を受診すれば良いのでしょうか。原因がはっきりしない場合や、痛みが夜間だけで日中は元気な場合は、まずかかりつけの小児科に相談するのが良いでしょう。小児科医は子供の全身を診る専門家であり、痛みの様子や他の症状から、本当に成長痛なのか、あるいは稀ではありますが、小児リウマチや骨の腫瘍といった他の深刻な病気が隠れていないかを見極めてくれます。その上で、もし整形外科的な精査が必要だと判断されれば、適切な専門医を紹介してくれます。安易に「成長痛だから大丈夫」と自己判断せず、まずは専門家の診察を受けることが、子供の健康を守る上で最も大切なことです。
子供が膝を痛がるときは何科に連れて行くべきか