溶連菌感染症と診断され、抗生物質による治療が始まると、親として気になるのは、子供のつらい症状がいつ和らぐのか、そしてあの痛々しい「いちご舌」はいつになったら元に戻るのか、ということでしょう。特に、食事のたびに「舌が痛い」と訴える姿を見るのは忍びないものです。回復の経過には個人差がありますが、一般的な目安を知っておくと、少し安心して見守ることができます。まず、抗生物質を服用し始めると、その効果は比較的速やかに現れます。多くの場合、服用開始から二十四時間から四十八時間以内には、高かった熱が下がり始め、激しかった喉の痛みも次第に和らいでいきます。舌の症状の回復は、全身症状よりは少しゆっくりと進みます。舌の表面を覆っていた白い苔が剥がれ落ち、真っ赤な「いちご舌」の状態がピークを迎えるのが、発症から三日から五日目頃です。この時期が、舌の痛みや味覚の違和感を最も強く感じるかもしれません。しかし、抗生物質による治療が順調に進んでいれば、このピークを過ぎたあたりから、舌の炎症も徐々に鎮まっていきます。舌の先端から目立っていた赤いブツブツは、少しずつその腫れが引き、舌全体の赤みも薄らいでいきます。そして、発症から一週間から十日も経つ頃には、ほとんどの場合、舌は元の滑らかな状態に戻ります。大切なのは、この回復過程の途中で症状が楽になったからといって、自己判断で抗生物質の服用をやめてしまわないことです。医師から指示された期間、通常は十日間程度、薬をきっちりと飲み切ることが、体内に潜む溶連菌を完全に除去し、リウマチ熱や急性糸球体腎炎といった危険な合併症を防ぐために絶対に必要です。舌のつぶつぶが消えていくのは、体が着実に回復している証拠です。焦らず、医師の指示を守って、最後までしっかりと治療を続けましょう。