それは、友人と焼肉をたらふく食べた日の夜中のことでした。最初は、右の肩甲骨の下あたりに、筋肉痛のような鈍い痛みを感じる程度でした。食べ過ぎで胃がもたれているせいだろう、と軽く考えて横になりました。しかし、痛みは時間とともにどんどん強くなっていったのです。鈍痛は、やがて背中を内側からえぐられるような激痛に変わり、脂汗が滲み出てきました。どんな体勢をとっても痛みは和らがず、あまりの痛みに吐き気まで催してきました。これはただ事ではない。そう直感した私は、明け方を待って家族に救急外来へ連れて行ってもらいました。病院のベッドで背中を丸めて痛みに耐えていると、医師がやってきて、腹部の超音波(エコー)検査を行うと言いました。冷たいゼリーを塗られ、機械を当てられると、医師はモニターを指差して言いました。「ああ、これですね。胆のうに石がたくさんあります。胆石発作でしょう」。診断が下った瞬間、痛みの原因がわかった安堵と、自分の体に石があったという驚きで、複雑な気持ちになったのを覚えています。その日は痛み止めの点滴を受けて入院となり、絶食と水分補給で炎症が治まるのを待ちました。数日後、痛みは嘘のように引き、無事に退院できましたが、根本的な解決には手術が必要とのことでした。この経験を通じて私が学んだのは、背中の痛みを安易に考えてはいけないということです。特に、食事、とりわけ脂っこいものを食べた後に起こる右側の背中の痛みは、胆石の典型的なサインなのだと身をもって知りました。もし、私と同じように、食事の後に決まって右の背中が痛くなるという方がいたら、それは筋肉の問題ではなく、内臓からのSOSかもしれません。我慢せずに、一度、消化器内科を受診して、エコー検査を受けてみることを強くお勧めします。早期に発見できれば、私のように夜中に激痛で苦しむ前に、計画的な治療ができるはずです。