すねを押したへこみがなかなか戻らない、という症状に加えて、最近どうも体がだるい、疲れが取れないと感じることはありませんか。この「むくみ」と「全身倦怠感」の組み合わせは、体の化学工場ともいえる肝臓や、浄水場である腎臓の機能が低下しているサインかもしれません。まず腎臓ですが、主な働きは血液中の老廃物や余分な塩分・水分を濾し取り、尿として体外へ排泄することです。この機能が低下する腎不全や、尿に大量のたんぱく質が漏れ出てしまうネフローゼ症候群といった病気になると、体は水分や塩分を適切に処理できなくなります。その結果、行き場を失った水分が全身に溜まり、特に顔やまぶた、そしてすねにむくみとして現れます。同時に、体内に老廃物が溜まることで、強い倦怠感や食欲不振といった症状を引き起こすのです。尿の量が減った、泡立ちが気になる、色が濃いといった変化があれば、より腎臓の病気が疑わしくなります。次に肝臓です。肝臓は、体に必要な様々なたんぱく質を合成する重要な役割を担っています。中でも「アルブミン」というたんぱく質は、血管の中に水分を保持する働きがあります。肝硬変などで肝臓の機能が著しく低下すると、このアルブミンの合成が滞り、血液中のアルブミン濃度が低下します。すると、血管は水分を保持する力を失い、水分が血管の外へ漏れ出して、むくみや腹水(お腹に水がたまること)の原因となるのです。肝機能の低下は、黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)や、強いだるさを伴います。これらの腎臓や肝臓の病気が疑われる場合、受診すべきは内科です。より専門的には、腎臓内科や消化器内科(肝臓内科)となります。血液検査や尿検査で、腎機能や肝機能、アルブミンの値などを調べることで、診断が可能です。すねのへこみは、足だけの問題ではないかもしれません。体全体の不調を知らせるシグナルと捉え、内科医に相談することが大切です。