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息子の舌先に気づいたあの日!溶連菌闘病記
三連休の初日のことでした。五歳になる息子が、朝から「喉が痛い」と言って元気がありませんでした。熱を測ると三十八度五分。いつもの風邪だろうと思い、解熱剤を飲ませて様子を見ることにしました。しかし、その日の夕方、息子の様子に異変を感じました。食事の時、「舌の先がピリピリして痛い」と言い出したのです。不思議に思って口の中を見せてもらうと、舌の先端が妙に赤く、よく見ると小さな赤い点がポツポツと浮き出ているように見えました。その時はまだ知識がなく、熱で口の中が荒れているだけだろうと軽く考えてしまいました。しかし翌日、症状はさらに悪化。喉の痛みは一層強くなり、舌の赤いブツブツは舌全体に広がっていました。その見た目は、図鑑で見た苺の表面そのものでした。これはおかしい。ただの風邪ではないかもしれない。そう直感した私は、休日診療所へ駆け込みました。医師は息子の口の中を見るなり、「あ、これは典型的な溶連菌ですね」と一言。喉の奥を綿棒でこする迅速検査で、診断は確定しました。処方されたのは抗生物質です。医師からは「この薬は症状が良くなっても、合併症を防ぐために必ず十日間飲み切ってくださいね」と強く念を押されました。その日の夜から抗生物質を飲み始めると、翌日にはあれほど高かった熱が下がり始め、喉の痛みも少し和らいだようでした。三日も経つ頃にはすっかり元気を取り戻し、舌の赤みとブツブツも徐々に引いていきました。あの時、息子の「舌先が痛い」という小さな訴えを流さず、口の中をしっかり観察して本当に良かったと思います。舌の変化は、溶連菌という病気を教えてくれる重要なサインでした。そして、医師の指示通りに薬を最後まで飲み切ることの大切さも、この経験を通じて痛感しました。
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その顔のむくみと熱は腎臓の悲鳴かも
発熱と顔のむくみ、この二つの症状が同時に現れた時、特に注意深く観察すべきは腎臓のコンディションです。私たちの体にある腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排泄する、いわば体の浄水フィルターのような役割を担っています。この腎臓の機能が何らかの原因で急激に低下すると、体は水分や塩分をうまく排出できなくなり、むくみとなって体に現れます。特に、まぶたや顔周りは皮膚が薄く、むくみが目立ちやすい場所です。そして、腎臓で炎症が起きている場合、体は発熱という形で反応します。この状態を引き起こす代表的な病気が、急性糸球体腎炎です。これは、溶連菌などの感染症にかかった後、数週間経ってから発症することが多く、免疫反応の異常が腎臓の糸球体というフィルター部分を攻撃してしまうことで起こります。顔のむくみや発熱の他に、尿の色がコーラのように濃くなったり、尿量が減ったり、血圧が上昇したりといったサインが見られます。また、ネフローゼ症候群という病気では、尿から大量のたんぱく質が漏れ出てしまうことで血液中のたんぱく質が減少し、血管内に水分を保持できなくなって強いむくみを引き起こします。こちらも感染症などをきっかけに発症し、発熱を伴うことがあります。これらの腎臓の病気は、放置すると腎機能がさらに悪化し、将来的に人工透析が必要になる可能性もあるため、早期発見と早期治療が極めて重要です。専門となる診療科は、腎臓内科あるいは一般の内科です。尿検査や血液検査で腎機能の状態を調べれば、診断は比較的容易です。もし、発熱と顔のむくみ、特に朝起きた時のまぶたの腫れがひどいと感じたら、それは腎臓からのSOSサインかもしれません。安易な自己判断はせず、速やかに医療機関を受診してください。
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危険な「すねのへこみ」!こんな症状は今すぐ病院へ
すねを押してへこむという症状は、多くの人が経験する「むくみ」の一種ですが、その背景には、時に命に関わるような危険な病気が隠れていることがあります。「いつものことだから」と自己判断で放置するのは非常に危険です。これから挙げるような症状が、すねのへこみと同時に現れた場合は、緊急性の高いサインと捉え、直ちに医療機関を受診してください。まず、最も警戒すべきは、呼吸に関する症状です。「安静にしていても息が苦しい」「少し動いただけでも息が切れる」「横になると咳き込んでしまい、座っている方が楽」といった症状は、心不全がかなり進行しているか、あるいは深部静脈血栓症から移行した肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。これらは心臓や肺に極度の負担がかかっている状態で、一刻を争います。次に、片足だけの急激な変化です。「片足だけが急にパンパンに腫れ上がり、痛みや赤み、熱っぽさを伴う」場合は、足の静脈に血栓ができた深部静脈血栓症が強く疑われます。前述の通り、この血栓が肺に飛ぶと命に関わるため、緊急の治療が必要です。また、体重の急激な増加も危険なサインです。一週間で二キロから三キロ以上も体重が増えた場合、それは脂肪が増えたのではなく、体に余分な水分が溜まっていることを意味します。心臓や腎臓の機能が急激に悪化している可能性があり、専門家による評価が不可欠です。さらに、尿量の極端な減少も要注意です。「トイレに行く回数がめっきり減った」「ほとんど尿が出ない」という状態は、腎臓が機能不全に陥っている急性腎不全のサインかもしれません。体内に毒素が溜まり、危険な状態に至る可能性があります。これらの「呼吸困難」「片足だけの急な腫れと痛み」「急激な体重増加」「尿量の極端な減少」といった症状が一つでも見られたら、翌日まで待ったり、かかりつけ医の予約を取ったりしている余裕はありません。夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。体が発する緊急警報を正しく受け止めることが、何よりも大切です。
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かかとの骨の出っ張りが痛みの原因かも
かかとの後ろの痛みがなかなか治らず、靴を履くたびに特定の場所が当たって痛い。そんな症状に悩まされている方は、もしかしたら「ハグルンド病(変形)」と呼ばれる、かかとの骨の形態的な異常が関係しているかもしれません。ハグルンド病とは、かかとの骨の後ろ側、アキレス腱が付着する部分の少し上が、生まれつき、あるいは後天的に出っ張っている状態を指します。この骨の隆起そのものが直接痛みを生じさせるわけではありません。問題は、この出っ張った骨とアキレス腱の間にある滑液包というクッション役の袋が、靴のかかと部分(カウンター)と骨との間に挟まれて、強い圧迫と摩擦を受けることにあります。この状態が繰り返されることで、滑液包に炎症が起こり(滑液包炎)、痛みや腫れ、熱感といった症状が現れるのです。特に、かかと部分が硬く、しっかりとフィットするパンプスや革靴、スケート靴などを履く人に多く見られます。また、アキレス腱が硬い人や、扁平足気味の人も、歩行時にアキレス腱が骨の出っ張りに擦れやすくなるため、発症しやすい傾向にあります。診断は、整形外科でレントゲン検査を行えば比較的容易です。レントゲン写真で、特徴的なかかとの骨の隆起が確認できます。治療の第一歩は、原因となっている靴からの圧迫を取り除くことです。かかと部分が柔らかい靴を選んだり、靴のかかと部分に穴を開けたクッション性のあるパッドを当てたりするだけでも、症状はかなり改善します。同時に、炎症を抑えるための消炎鎮痛薬の服用や湿布、そしてアキレス腱を柔軟にするためのストレッチが有効です。ほとんどの場合はこうした保存的な治療で改善しますが、症状が非常に強く、日常生活に大きな支障をきたすような場合には、出っ張った骨そのものを削り取る手術が検討されることもあります。もし、あなたの片足のかかとの痛みが靴と深く関係していると感じるなら、一度整形外科で骨の形を調べてもらうことをお勧めします。