季節別・日常別の医療と健康の知識提供

2025年8月
  • 舌先のサインを見逃さない!溶連菌合併症の怖さ

    医療

    溶連菌感染症は、適切な治療を受ければ数日で症状が改善する、比較的ありふれた感染症です。しかし、「喉の痛みが治まったから」「熱が下がったから」と油断してはいけないのが、この病気の本当に怖いところです。なぜなら、治療が不十分だと、後から深刻な合併症を引き起こす可能性があるからです。その危険性を知らせる最初のサインが、発熱や喉の痛みととも現れる舌の異常、特に舌先の赤いやつぶつぶかもしれません。溶連菌の合併症として特に注意が必要なのは、リウマチ熱と急性糸球体腎炎です。リウマチ熱は、溶連菌感染から数週間後に、心臓、関節、神経などに炎症が起こる病気です。特に心臓の弁に障害が残ると、心臓弁膜症という後遺症に繋がり、将来にわたって生活に影響を及ぼす可能性があります。一方、急性糸球体腎炎は、腎臓のフィルター機能を持つ糸球体に炎症が起こる病気です。血尿やたんぱく尿、むくみ、高血圧といった症状が現れ、重症化すると腎不全に至ることもあります。これらの合併症は、溶連菌そのものが心臓や腎臓を直接攻撃するわけではありません。感染によって体内に作られた免疫反応が、なぜか自分の体の組織を誤って攻撃してしまうことで引き起こされると考えられています。この恐ろしい合併症を防ぐ唯一にして最も確実な方法は、原因となる溶連菌を抗生物質で完全に叩くことです。そのためには、医師から処方された抗生物質を、症状が消えた後も指示された期間、必ず最後まで飲み切ることが絶対条件となります。子供が舌先の痛みを訴え、いちご舌のサインが見られた時、それは単なる症状ではなく、「ここでしっかり治療しないと、後で大変なことになるよ」という体からの警告なのです。このサインを真摯に受け止め、確実な治療に繋げることが、子供の未来の健康を守る上で何よりも重要です。

  • 大人が水疱瘡になると想像以上に大変です

    知識

    水疱瘡、つまり水ぼうそうと聞くと、多くの人は子供時代にかかる、比較的軽い病気というイメージを抱くのではないでしょうか。しかし、この常識は大人には当てはまりません。もし、子供の頃に水疱瘡にかかったことがなく、ワクチンも未接種の大人がこの病気に感染すると、子供の場合とは比較にならないほど重症化するリスクが非常に高いのです。大人の水疱瘡は、単なる子供の病気の延長線上にはありません。まず、発疹の数が子供よりも圧倒的に多く、全身を埋め尽くすように現れることも珍しくありません。一つ一つの水ぶくれが大きく、治癒後には痕が残りやすいのも特徴です。そして、何よりも辛いのが症状の強さです。発疹が現れる前から、インフルエンザのような激しい倦怠感や筋肉痛、そして三十九度を超えるような高熱が数日間続きます。この発熱だけでも体力は著しく消耗しますが、それに加えて、耐え難いほどの強いかゆみが全身を襲います。かきむしりたい衝動に駆られますが、水ぶくれを潰してしまうと細菌感染のリスクが高まり、さらに症状を悪化させる原因にもなります。大人の水疱瘡が危険なのは、こうした表面的な症状だけではありません。最も警戒すべきは、合併症の発生率が子供よりも格段に高いことです。代表的な合併症には、水痘肺炎や脳炎、髄膜炎、肝炎などがあり、これらは命に関わることもある深刻な状態です。特に水痘肺炎は、成人の水疱瘡患者の約二割に発症するとも言われ、激しい咳や呼吸困難を引き起こします。このように、大人の水疱瘡は、本人の苦痛が大きいだけでなく、社会生活にも多大な影響を及ぼします。長期の休養を余儀なくされ、回復後も体力低下や痕の問題に悩まされることもあります。もし自分が水疱瘡に未感染であると知っているなら、たかが子供の病気と侮ることなく、その危険性を正しく認識し、適切な予防策を講じることが何よりも重要です。

  • 舌先のつぶつぶ!病院で何をどう伝えるか

    医療

    子供が熱を出し、喉の痛みを訴えている。そして、ふと見ると舌の先が赤く、つぶつぶしている。これは溶連菌かもしれない、と病院へ連れて行く時、限られた診察時間の中で、医師に的確に情報を伝えるためには、どのような準備をしておけば良いのでしょうか。正しい診断と治療に繋げるためのポイントを解説します。まず、医師に伝えるべき最も重要な情報は、症状がいつから始まったかという時系列です。具体的には、「昨日の朝から三十八度の熱が出ました」「今日の昼頃から、舌の先が痛いと言い始めました」というように、具体的な日付や時間とともに伝えられると、医師は病気の進行度を把握しやすくなります。次に、舌の状態を具体的に説明することです。「舌が苺みたいになっています」という表現は非常に分かりやすいですが、それに加えて、「舌の先端部分が特に赤いです」「最初は白い苔みたいのがあったけれど、今は赤いつぶつぶだけです」といった、気づいた変化をそのまま伝えましょう。舌の状態は刻々と変化するため、受診前の状態を伝えておくことは有益です。さらに、舌以外の症状も漏れなく伝えることが重要です。喉の痛みの程度、咳や鼻水の有無、そして体の発疹の有無は必ず確認してください。服をめくって、お腹や背中に細かい赤い発疹が出ていないかチェックしておきましょう。食欲や元気の度合い、水分が摂れているかどうかも大切な情報です。これらの情報を、事前にメモにまとめておくと、診察室で慌てずに済みます。病院では、医師が喉や舌の状態を視診した後、溶連菌が疑われる場合は、喉の奥を細い綿棒でこする迅速抗原検査を行うのが一般的です。この検査は五分から十分程度で結果が分かり、その場で診断が確定します。舌先の小さな変化は、親だからこそ気づける重要なサインです。そのサインを的確な言葉で医師に伝えることが、お子さんを辛い症状から早く解放するための第一歩となるのです。

  • かかとの後ろが痛い時に試せるセルフケア

    生活

    片足のかかとの後ろに痛みを感じた時、すぐに病院へ行けない場合や、痛みがそれほど強くない初期段階で、症状を和らげるために自分でできる応急処置やセルフケアがいくつかあります。ただし、これらはあくまで一時的な対処法であり、痛みが続く場合は必ず整形外科を受診することが大前提です。まず、痛みの原因は炎症であることが多いため、運動後や歩き回った後など、熱っぽさを感じる時にはアイシングが有効です。ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオルで包んで痛む部分に十五分から二十分程度当てます。これにより、炎症を鎮め、痛みを和らげる効果が期待できます。次に、最も重要なセルフケアがストレッチです。かかとの後ろの痛みの多くは、ふくらはぎの筋肉やアキレス腱が硬くなっていることが原因です。壁に向かって立ち、痛む方の足を後ろに引いて、かかとを床につけたまま、前の膝をゆっくりと曲げていきます。ふくらはぎからアキレス腱が心地よく伸びているのを感じながら、三十秒ほどキープします。これを数回繰り返しましょう。ポイントは、反動をつけず、じっくりと伸ばすことです。お風呂上がりの体が温まっている時に行うとより効果的です。また、日常生活での負担を減らす工夫も大切です。インソール(中敷き)を活用するのも一つの手です。特に、かかと部分に少し高さがあり、クッション性のあるヒールカップタイプのインソールは、アキレス腱にかかる負担を軽減してくれます。スポーツ用品店や薬局で手軽に購入できます。そして、何よりも大切なのが安静です。痛みを引き起こしている原因、例えばランニングや長時間の立ち仕事などを、一時的に休むか、頻度を減らす勇気も必要です。これらのセルフケアを試しても痛みが改善しない、あるいは悪化するような場合は、別の病気が隠れている可能性もあります。自己判断を過信せず、必ず専門医の診察を受けるようにしてください。

  • すねのへこみの原因は薬の副作用かもしれない

    医療

    すねを押すとへこむ、というむくみの症状。心臓や腎臓の病気を心配する方は多いですが、意外なことに、普段あなたが良かれと思って服用している薬が、その原因となっている可能性もあります。薬の副作用として「浮腫(ふしゅ)」、つまりむくみが現れることは、決して珍しいことではないのです。では、どのような薬がむくみを引き起こしやすいのでしょうか。代表的なものの一つが、高血圧の治療に用いられる「カルシウム拮抗薬」という種類の降圧剤です。この薬は、血管を広げて血圧を下げる作用がありますが、その際に動脈を広げる力が静脈を広げる力よりも強いため、毛細血管の圧力バランスが崩れ、水分が血管の外に漏れ出しやすくなり、結果として足にむくみが現れることがあります。また、糖尿病の治療薬の一部や、関節リウマチなどの治療に用いられるステロイド薬も、体内に塩分や水分を溜め込みやすくする作用があるため、むくみの原因となることがあります。さらに、市販薬の中でも、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるタイプの痛み止めは、長期にわたって服用すると腎臓の血流に影響を与え、水分の排泄を妨げてむくみを引き起こす可能性があります。もし、新しい薬を飲み始めてから、すねのへこみが気になりだしたという場合は、その薬が原因である可能性を考えるべきです。しかし、ここで絶対にやってはいけないのが、自己判断で薬の服用を中止してしまうことです。高血圧や糖尿病の薬を勝手にやめてしまうと、元の病気が悪化し、より深刻な事態を招きかねません。まずは、その薬を処方してくれた主治医に相談することが鉄則です。「この薬を飲み始めてから足がむくむのですが」と伝えるだけで、医師は副作用の可能性を考慮してくれます。薬の種類を変更したり、量を調整したり、あるいはむくみに対する利尿薬を追加したりと、様々な対策を講じることが可能です。すねのへこみは、体からのサインです。その原因が病気なのか、それとも薬なのかを正しく見極めるためにも、必ず医師や薬剤師に相談してください。

  • すねのへこみを診てもらう前に準備すべきこと

    知識

    すねがへこんだまま戻らない。これは何かの病気かもしれないと不安になり、病院へ行こうと決心した時、ただ漠然と受診するのではなく、少し準備をしておくと、診察が非常にスムーズに進み、医師が的確な診断を下すための大きな助けとなります。限られた診察時間を有効に使うために、事前に自分の症状を整理しておくことをお勧めします。ぜひ、以下の項目についてメモを作成してみてください。まず、症状の基本的な情報です。「いつからすねがへこむことに気づいたか」「右足だけか、左足だけか、それとも両足か」「朝と夕方で、むくみの程度に変化はあるか」といった時系列や左右差、日内変動は、原因を推測する上で非常に重要な手がかりとなります。次に、すねのへこみ以外の体の変化です。これが最も重要かもしれません。「最近、階段を上ると息が切れる」「夜、横になると咳が出る」「体がだるくて疲れやすい」「急に体重が増えた」「尿の量や色に変化があった」「食欲がない」など、一見関係なさそうに思えることでも、実は病気の診断に直結するサインであることが多いのです。気づいたことは些細なことでも書き出しておきましょう。また、現在治療中の病気や、日常的に服用している薬、サプリメントの情報も不可欠です。特に、血圧の薬や痛み止めの中には、副作用としてむくみを引き起こすものがあります。お薬手帳を持参するのが最も確実です。生活習慣についても振り返ってみましょう。「長時間立ちっぱなし、あるいは座りっぱなしの仕事をしているか」「塩辛いものをよく食べるか」「最近、飛行機などで長距離移動をしたか」といった情報も、診断の参考になります。これらの情報を整理して医師に伝えることで、あなたはただの患者から、医師と共に病気の謎を解くパートナーになることができます。不安な気持ちを抱えるだけでなく、自分の体の情報を正確に提供することが、つらい症状の原因を突き止め、適切な治療を受けるための最短ルートとなるのです。

  • そのかかとの痛みあなたの靴が原因です

    生活

    毎日履いているその靴が、あなたの片足のかかとの痛みを引き起こしている張本人かもしれません。アキレス腱付着部周辺の痛みは、ランニングなどのスポーツだけでなく、日常生活で履いている靴との相性が悪いことによっても頻繁に引き起こされます。特に、かかと部分の構造は、痛みの発生に直接的に関わっています。まず、多くの人がやりがちなのが、サイズの合わない靴を履き続けることです。サイズが大きすぎると、歩くたびにかかとが靴の中で浮き沈みし、アキレス腱の付け根が靴の縁(履き口)に繰り返し擦れてしまいます。この物理的な摩擦が、炎症の引き金となるのです。逆に、サイズが小さすぎたり、幅が狭すぎたりする靴は、かかと全体を圧迫し、血行を悪化させ、痛みを誘発します。また、靴のかかと部分の硬さも重要なポイントです。デザイン性を重視したパンプスや、しっかりとした作りの革靴は、かかとを支えるカウンターと呼ばれる芯が非常に硬く作られています。これが自分の骨の形と合っていないと、まるで石をかかとに押し付けながら歩いているような状態になり、アキレス腱の付着部やその周りの滑液包に強いストレスを与え続けます。底が薄くてクッション性のない靴も問題です。地面からの衝撃が直接かかとに伝わり、アキレス腱への負担を増大させます。では、どのような靴を選べば良いのでしょうか。まず、自分の足のサイズと幅を正確に知り、つま先に少し余裕があり、かかとがしっかりと固定されるものを選びましょう。試着は必ず両足で行い、少し歩いてみて、かかとがパカパカしないか、どこか強く当たる場所がないかを確認します。かかとを支えるカウンターは、硬すぎず、適度な柔軟性があるものが理想です。そして、ある程度のクッション性があり、衝撃を吸収してくれるソール(靴底)であることも大切です。もし、今履いている靴で片足のかかとに痛みを感じるなら、一度、靴を見直してみてください。靴を変えるだけで、長年の悩みが嘘のように解決することもあるのです。

  • これは危険!救急受診すべき背中の痛み

    医療

    背中の痛みは日常的によくある症状ですが、中には一刻を争う、命に関わる病気のサインである場合があります。いつもと違う、我慢できないほどの痛みを感じた時は、様子を見ることなく、直ちに医療機関を受診する必要があります。では、どのような症状が危険なサインなのでしょうか。まず、痛みの強さと発症の仕方です。これまで経験したことのないような激痛が、突然、背中に走った場合は非常に危険です。特に、背中が引き裂かれるような痛みと表現される場合は、大動脈解離の可能性があります。これは、心臓から全身へ血液を送る最も太い血管である大動脈の壁が裂けてしまう病気で、極めて致死率が高く、緊急手術が必要です。痛みが胸から背中へ移動するような感覚も特徴です。また、右の背中の激痛とともに、胸の圧迫感や締め付けられるような痛みがある場合は、心筋梗塞の関連痛かもしれません。これもまた、迅速な治療が必要な病気です。次に、痛みに伴う他の症状です。高熱や悪寒、冷や汗を伴う背中の痛みは、腎盂腎炎や胆のう炎、膵炎といった重い感染症や炎症が起きているサインです。これらの病気は敗血症に進展する危険があり、早期の治療が不可欠です。さらに、背中の痛みに加えて、手足のしびれや麻痺、うまく歩けない、ろれつが回らないといった神経症状が現れた場合は、背骨の中の脊髄や神経が圧迫されているか、脳卒中の可能性も考えられます。これらの危険なサインが一つでも当てはまる場合は、かかりつけ医の診察を待つのではなく、夜間や休日であっても救急外来を受診するか、ためらわずに救急車を呼んでください。自己判断による時間のロスが、取り返しのつかない事態を招くことがあります。いつもの痛みとは違う、という自分の直感を信じ、迅速に行動することが、命を守るために最も大切なことです。

  • すねを押してへこんだまま!まず何科へ行くべきか

    医療

    ふと気づくと、靴下の跡がくっきりと残っている。あるいは、指ですねを押してみると、へこんだままなかなか元に戻らない。このような症状に心当たりがある方は、単なる「むくみ」と片付けずに、一度立ち止まって考える必要があります。この、押した跡が残るむくみは「圧痕性浮腫(あっ痕せいふしゅ)」と呼ばれ、体からの重要なサインである可能性が隠れています。では、どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。もし、これといった原因に心当たりがなく、特に息切れや体のだるさといった他の症状も伴う場合は、まず第一に内科、中でも心臓や血管を専門とする循環器内科を受診することを強くお勧めします。なぜなら、すねのへこみの背景には、心臓や腎臓、肝臓といった生命維持に不可欠な臓器の機能低下が隠れているケースが少なくないからです。例えば、心臓のポンプ機能が弱まる心不全になると、全身の血流が滞り、特に重力の影響を受けやすい足に水分が溜まりやすくなります。また、腎臓の機能が低下して余分な水分や塩分を排泄できなくなったり、肝臓の病気で血液中のたんぱく質が減少したりすることでも、同様のむくみが起こります。内科、特に循環器内科では、問診や聴診、血液検査、尿検査、心電図、胸部レントゲンといった検査を通じて、これらの全身性の病気がないかを総合的に評価してくれます。もし、より専門的な診断が必要な場合は、そこから腎臓内科や消化器内科など、適切な科へ紹介してもらえるため、医療の入り口として最適です。自己判断で様子を見たり、マッサージなどでごまかしたりする前に、まずは体の内部で何が起きているのかを専門家に診てもらうこと。それが、安心への、そして的確な治療への最も確実な第一歩となるのです。

  • 整形外科ではどんな検査や治療をするのか

    医療

    片足のかかとの後ろが痛くて整形外科を受診しようと思っても、一体どんなことをされるのだろうと、少し不安に思う方もいるかもしれません。しかし、検査や治療の流れをあらかじめ知っておけば、安心して診察に臨むことができます。まず、診察室に入ると、医師による問診から始まります。これは非常に重要で、「いつから痛むか」「どんな動作をすると痛みが強くなるか」「スポーツの習慣はあるか」「普段どんな靴を履いているか」など、痛みの原因を探るための様々な質問をされます。自分の言葉で、できるだけ具体的に答えましょう。次に、触診です。医師が直接、痛む場所やその周辺を指で押したり、足首を動かしたりして、痛みの正確な位置、腫れの有無、アキレス腱の硬さなどを確認します。この時、痛ければ我慢せずに伝えましょう。多くの場合、ここまでの診察で、ある程度の診断の推測がつきます。それを裏付けるために、画像検査が行われます。一般的には、まずレントゲン(X線)検査です。これにより、かかとの骨に棘のような出っ張り(骨棘)や、ハグルンド病のような骨の変形がないかを確認します。骨に明らかな異常がない場合は、さらに詳しく腱やその周りの組織の状態を見るために、超音波(エコー)検査が行われることが多いです。エコー検査は、リアルタイムでアキレス腱の厚さや炎症の有無、滑液包の状態などを観察できる、非常に有用な検査です。これらの検査結果を総合して、医師は「アキレス腱付着部症」や「滑液包炎」といった最終的な診断を下します。治療は、ほとんどの場合、手術をしない保存療法が中心となります。炎症を抑えるための湿布や塗り薬、痛み止めの飲み薬の処方。そして、リハビリテーションとして、理学療法士によるアキレス腱のストレッチ指導や、靴選びのアドバイス、インソール(足底挿板)の作成などが行われます。痛みが非常に強い場合には、ステロイドの局所注射を行うこともありますが、これは慎重に判断されます。このように、整形外科では科学的根拠に基づいた手順で、あなたの痛みの原因を突き止め、最適な治療法を提案してくれるのです。