大人がかかると重症化しやすい水疱瘡。できれば一生かからずに済ませたいと誰もが思うでしょう。そのためには、水痘帯状疱疹ウイルスから身を守るための正しい知識と、具体的な予防策を講じることが不可欠です。大人が水疱瘡に感染する最も一般的なケースは、自分の子供や孫など、身近な子供からうつることです。子供たちの間で流行している時期は特に注意が必要です。ウイルスは、発疹だけでなく、咳やくしゃみによって空気中に飛び散った飛沫を吸い込むことでも感染します(空気感染・飛沫感染)。感染力は非常に強く、同じ空間にいるだけで感染する可能性があるため、完全に接触を避けるのは困難です。では、どうすれば感染を防げるのでしょうか。最も確実で効果的な予防法は、ワクチン接種です。水痘ワクチンは、ウイルスを弱毒化して作られており、接種することで体内に免疫を獲得することができます。日本では現在、子供の定期接種となっていますが、大人が任意で接種することも可能です。過去に水疱瘡にかかったことがなく、ワクチンも接種したことがない成人は、ぜひ接種を検討してください。一回の接種でも高い予防効果が期待できますが、より確実な免疫を得るためには、二回の接種が推奨されています。特に、医療従事者や保育関係者、そして妊娠を希望する女性とそのパートナーは、積極的に接種を考えるべきです。また、もし家族が水疱瘡を発症してしまった場合、まだ感染していない大人はどうすればよいのでしょうか。この場合、「緊急ワクチン」という選択肢があります。感染者と接触してから七十二時間以内にワクチンを接種することで、発症を完全に防ぐか、もし発症しても症状を大幅に軽くする効果が期待できます。自分が水疱瘡にかかったかどうか記憶が曖昧な場合は、医療機関で抗体検査を受けることで、免疫の有無を確認することができます。検査で抗体がない、あるいは不十分と判断されたら、ワクチン接種を検討しましょう。重症化のリスクを考えれば、ワクチン接種は自分自身を守るための最も賢明な投資と言えるでしょう。
大人が水疱瘡に感染しないための予防と対策