大人が水疱瘡にかかった場合、その影響は個人の健康問題だけに留まりません。仕事や社会生活にも、深刻かつ長期的な影響を及ぼすことを覚悟しなければなりません。まず、最も直接的な問題が、長期間の休業を余儀なくされることです。水疱瘡は、感染症法で「学校において予防すべき感染症」に指定されており、これは社会人にも準用されるのが一般的です。出勤停止の目安は、「すべての発疹がかさぶたになるまで」とされています。大人の場合、発疹が次々と現れ、全てがかさぶたになるまでには、短くとも一週間、重症化すれば二週間以上かかることも珍しくありません。これは有給休暇だけでは到底足りず、欠勤扱いになったり、業務に大きな穴を開けてしまったりする可能性があります。特に、個人事業主や代替の効かない職務に就いている人にとっては、収入の減少や信用の失墜に直結しかねない、死活問題となり得ます。また、療養期間中の心身の苦痛も、仕事のパフォーマンスに影を落とします。高熱や全身の倦怠感、そして何よりも耐え難いかゆみの中で、リモートワークで業務をこなすなどということは、まず不可能です。ただひたすら安静にし、回復を待つしかありません。そして、ようやく出勤できるようになった後も、問題が残ることがあります。体力の低下です。長期間の闘病生活で消耗した体力はすぐには元に戻らず、しばらくは思うように仕事に集中できないかもしれません。さらに、顔など目立つ場所に発疹の痕が残ってしまった場合、精神的な苦痛を感じる人もいます。特に、接客業や営業職など、人と顔を合わせる機会の多い仕事に就いている人にとっては、深刻な悩みとなる可能性があります。このように、大人の水疱瘡は、健康、仕事、経済、そして精神面と、あらゆる側面に大きな打撃を与えます。感染してから後悔するのではなく、未然に防ぐことの重要性を、社会人としてもしっかりと認識しておくべきでしょう。
大人の水疱瘡は仕事への影響も深刻です