溶連菌感染症は、一般的に子供の病気というイメージが強いですが、もちろん大人も感染します。大人が感染した場合、子供と同じように高熱や激しい喉の痛みに見舞われることが多いですが、症状の現れ方には個人差があります。子供ほど典型的な症状が出そろわないこともあり、診断が遅れるケースも少なくありません。特に、舌の症状である「いちご舌」は、大人では子供に比べてはっきりと現れないことがあると言われています。しかし、全く現れないわけではありません。喉の痛みがひどくて鏡で喉の奥をチェックしていたら、ふと舌の表面、特に舌の先端あたりがいつもより赤く、ブツブトしていることに気づく、というケースは十分に考えられます。この舌先の小さな変化が、診断のきっかけになることもあるのです。大人の場合、日々の疲れやストレスから「ただの風邪だろう」「喉が荒れているだけだろう」と自己判断してしまいがちです。しかし、市販の風邪薬を飲んでも改善しない激しい喉の痛みや、三十八度を超える高熱、そして舌先の違和感や赤みが重なった場合は、溶連菌感染症を疑ってみる必要があります。放置してしまうと、大人であってもリウマチ熱や急性糸球体腎炎といった深刻な合併症を引き起こすリスクはゼロではありません。これらの合併症は心臓や腎臓に後遺症を残す可能性があり、それを防ぐためには抗生物質による確実な治療が不可欠です。もし、つらい喉の痛みとともに舌先にピリピリとした痛みや見た目の変化を感じたら、それは体が発している重要なサインかもしれません。内科や耳鼻咽喉科を受診し、溶連菌の可能性も含めて相談してみてください。迅速検査を受ければ、その場で診断が可能です。見過ごされがちな大人の溶連菌、舌先の小さなサインに気づくことが、早期発見と確実な治療に繋がります。