私の膝の痛みが始まったのは、四十代半ばを過ぎた頃でした。最初は、長時間歩いた後や、階段をたくさん上り下りした日に感じる程度の、軽い違和感でした。筋肉痛だろう、歳のせいだろうと軽く考え、市販の湿布を貼ってごまかす毎日。しかし、痛みは徐々に私の生活を蝕んでいきました。正座ができなくなり、和式のトイレが苦痛になり、そして何より、大好きだった週末のハイキングも、膝の痛みを気にして心から楽しめなくなってしまったのです。朝、起き上がりの一歩目にズキリと痛みが走るようになると、さすがにこれはおかしいと感じ始めました。近所の整骨院でマッサージを受けたりもしましたが、その場では楽になっても、根本的な解決には至りません。いよいよ病院へ行こうと決心したものの、そこで迷ったのが診療科です。内科なのか、それとも他の科なのか。インターネットで調べると様々な情報が出てきて、余計に混乱してしまいました。悩んだ末、骨や関節の専門家である整形外科の扉を叩くことにしました。診察室でこれまでの経緯を話すと、医師は私の膝を丁寧に触診し、レントゲンを撮ることを指示しました。しばらくして診察室に呼ばれ、モニターに映し出された自分の膝のレントゲン写真を見て、私は息を飲みました。健康な膝と比べると、明らかに骨と骨の隙間が狭くなっていたのです。「変形性膝関節症の初期段階ですね」という医師の言葉に、ショックと同時に、ようやく原因がわかったという安堵の気持ちがこみ上げてきました。その日から、私の本当の治療が始まりました。ヒアルロン酸の注射、そして理学療法士の指導のもとでの筋力トレーニング。痛みの原因と向き合い、正しい対処法を学ぶことで、膝の痛みは少しずつ、しかし着実に和らいでいきました。今では、また友人と笑顔でハイキングを楽しめるまでに回復しました。あの時、勇気を出して整形外科を選んで本当に良かったと、心から思っています。