大人が突発性発疹を発症することは非常に稀ですが、もし免疫を持たない大人が初めてヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)に感染した場合、どのような症状が現れるのでしょうか。実は、大人の初感染に関するデータはまだ限られており、その症状は子供の典型的なパターンとは異なることが多いと考えられています。子供の突発性発疹は、「三日間ほどの高熱→解熱と同時に全身に発疹」という、非常に特徴的な二段階の経過をたどります。しかし、大人が初感染した場合は、このようなはっきりとした経過をたどらないことが多いようです。報告されている主な症状としては、まず第一に「原因不明の長期にわたる発熱」が挙げられます。三十八度以上の熱が、一週間以上もだらだらと続くことがあります。そして、強い「全身倦怠感」や「筋肉痛」、「頭痛」といった、インフルエンザに似た全身症状を伴います。また、首や脇の下の「リンパ節が腫れる」ことも特徴的な症状の一つです。これは、ウイルスと免疫システムが戦っている証拠です。肝臓の細胞にもウイルスが感染することがあり、その結果として「肝機能障害」を引き起こし、血液検査で肝酵素(ASTやALT)の値が上昇することも報告されています。一方で、子供の突発性発疹の最大の特徴である「発疹」は、大人の場合は出ないこともあれば、出たとしてもごく軽かったり、非典型的であったりすることが多いとされています。これらの症状の組み合わせは、実は「伝染性単核球症」という、別のヘルペスウイルス(EBウイルス)によって引き起こされる病気の症状と非常によく似ています。そのため、原因不明の熱や倦怠感が続く大人を診察した結果、詳しく調べてみたらHHV-6の初感染だった、というケースが見られます。もし、子供が突発性発疹にかかった後に、自分がこのような長引く風邪のような症状に見舞われた場合は、念のため内科を受診し、その経緯を医師に伝えることが大切です。
もし大人が突発性発疹にかかったらどんな症状?