すねを押すとへこむ、というむくみの症状。心臓や腎臓の病気を心配する方は多いですが、意外なことに、普段あなたが良かれと思って服用している薬が、その原因となっている可能性もあります。薬の副作用として「浮腫(ふしゅ)」、つまりむくみが現れることは、決して珍しいことではないのです。では、どのような薬がむくみを引き起こしやすいのでしょうか。代表的なものの一つが、高血圧の治療に用いられる「カルシウム拮抗薬」という種類の降圧剤です。この薬は、血管を広げて血圧を下げる作用がありますが、その際に動脈を広げる力が静脈を広げる力よりも強いため、毛細血管の圧力バランスが崩れ、水分が血管の外に漏れ出しやすくなり、結果として足にむくみが現れることがあります。また、糖尿病の治療薬の一部や、関節リウマチなどの治療に用いられるステロイド薬も、体内に塩分や水分を溜め込みやすくする作用があるため、むくみの原因となることがあります。さらに、市販薬の中でも、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれるタイプの痛み止めは、長期にわたって服用すると腎臓の血流に影響を与え、水分の排泄を妨げてむくみを引き起こす可能性があります。もし、新しい薬を飲み始めてから、すねのへこみが気になりだしたという場合は、その薬が原因である可能性を考えるべきです。しかし、ここで絶対にやってはいけないのが、自己判断で薬の服用を中止してしまうことです。高血圧や糖尿病の薬を勝手にやめてしまうと、元の病気が悪化し、より深刻な事態を招きかねません。まずは、その薬を処方してくれた主治医に相談することが鉄則です。「この薬を飲み始めてから足がむくむのですが」と伝えるだけで、医師は副作用の可能性を考慮してくれます。薬の種類を変更したり、量を調整したり、あるいはむくみに対する利尿薬を追加したりと、様々な対策を講じることが可能です。すねのへこみは、体からのサインです。その原因が病気なのか、それとも薬なのかを正しく見極めるためにも、必ず医師や薬剤師に相談してください。
すねのへこみの原因は薬の副作用かもしれない