すねを押してへこむという症状は、多くの人が経験する「むくみ」の一種ですが、その背景には、時に命に関わるような危険な病気が隠れていることがあります。「いつものことだから」と自己判断で放置するのは非常に危険です。これから挙げるような症状が、すねのへこみと同時に現れた場合は、緊急性の高いサインと捉え、直ちに医療機関を受診してください。まず、最も警戒すべきは、呼吸に関する症状です。「安静にしていても息が苦しい」「少し動いただけでも息が切れる」「横になると咳き込んでしまい、座っている方が楽」といった症状は、心不全がかなり進行しているか、あるいは深部静脈血栓症から移行した肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の可能性があります。これらは心臓や肺に極度の負担がかかっている状態で、一刻を争います。次に、片足だけの急激な変化です。「片足だけが急にパンパンに腫れ上がり、痛みや赤み、熱っぽさを伴う」場合は、足の静脈に血栓ができた深部静脈血栓症が強く疑われます。前述の通り、この血栓が肺に飛ぶと命に関わるため、緊急の治療が必要です。また、体重の急激な増加も危険なサインです。一週間で二キロから三キロ以上も体重が増えた場合、それは脂肪が増えたのではなく、体に余分な水分が溜まっていることを意味します。心臓や腎臓の機能が急激に悪化している可能性があり、専門家による評価が不可欠です。さらに、尿量の極端な減少も要注意です。「トイレに行く回数がめっきり減った」「ほとんど尿が出ない」という状態は、腎臓が機能不全に陥っている急性腎不全のサインかもしれません。体内に毒素が溜まり、危険な状態に至る可能性があります。これらの「呼吸困難」「片足だけの急な腫れと痛み」「急激な体重増加」「尿量の極端な減少」といった症状が一つでも見られたら、翌日まで待ったり、かかりつけ医の予約を取ったりしている余裕はありません。夜間や休日であっても、ためらわずに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。体が発する緊急警報を正しく受け止めることが、何よりも大切です。